こころざし

暇つぶしに読んだ新聞から。
数日前の「若手医師の脳外科離れ進む」の記事に対する投書に、「産婦人科や小児科などを含め、生命や訴訟のリスクや多忙さなどを理由に敬遠されている状況は、若手の志の低さを表しているとしか思えない(要約)」との意見があって気になったので反論を試みる。


①医療現場のリスクや多忙さは、医師の根性や努力の限界を超えている。病院に勤務する医師の多くが日常的に36時間勤務などの長時間労働を行っている。小児科や産婦人科をはじめとする多くの科で、人手不足のために勤務が集中したり疲労やストレスが医師に重くのしかかっている(研修医の実に4割がうつ状態であるとの研究結果も報告されている)。訴訟リスクなどの増加もそれに拍車をかけているだろう。
 「リスクを恐れるな」とは、そのリスクが打破可能な場合には有効な意見だろうが、現実は果してそうだろうか?医師としての志を全うする前に倒れてしまっては元も子もない。現場の多大なストレスに全ての医師が耐えられるわけでもない。また、そのような状況で働く医師に診療して欲しいと思うだろうか。
 リスクに進んで飛び込む志を求めるより、リスクを生み出している状況を改善することこそ真の解決なのではないだろうか。志が高いことと無鉄砲であることはイコールではないはずだ。


②志とは何か。「患者さんとしっかりと話して思いを汲み、真剣に向き合いたい」という志が高いのかどうかは僕には判断できないが、多忙で疲れ切ってしまう職場や、訴訟や医療ミスと隣り合わせでびくびくし続けなければならない職場に飛び込むことが、その志を全うすることになるだろうか?


③若手の「志の低下」は、果して本人たちのみに責任を問うべきものなのだろうか?「最近の若い者は…」との文脈が用いられることも多いが、「最近の若い者」を育ててきたのは、僕自身を含めた「これまでの大人たち」である。
 例えば、今の中高生にしてみれば、「今時の子どもは…」なんて言われたら、「お前らが育てたんだろぉが!」って感じだろう。
 若者をどう育てるか、若者を取り巻く社会をどう作り上げていくか。それを考えれば、僕たち一人一人が当事者であり、「最近の…」なんてセリフは軽々しく口にできなくなるんだけど…。


…。
我ながら、理屈っぽい文章…。
要するに暇しています。